シルバースプーン

荒川弘氏の漫画「銀の匙」が急に読みたくなってだね。
アニメ化するというし、もともと読んでみたかったってのもあって
17日に5巻までまとめて買ってきたよ。
本屋に連れてってくれた人も「買って損はないよ」とオススメしてくれたしね。
んで、読んだ感想なんだけども。
中身の感想の前に一言言いたい。



一冊読むのに一時間半かかった。



いや、私が活字を読むのが苦手というのもあるのだけどね。
んで、中身の感想。
まあとにかく舞台が北海道ってのもあるし、
美味そうな食べ物一杯出るし動物もたくさん出るし面白くないわけないよね。
という予想以上に面白かった。
まずキャラクター一人一人がそこまでインパクトのある名前・顔でもないのに(一部を除く)割とすぐ覚えられた。
漫画って最初にキャラクターの名前を覚えるのに苦労するんだよね。
でもこの漫画はそんなことなかった。個人個人のエピソードが最初の方に軽く入ってきたからかな。
準レギュラーですらすんなり入ってきた。まあ準レギュラーはインパクト強いの多いけど・・・
次に世界観の徹底とリアル感。
まあ現実にある世界を舞台にしてるし
荒川氏は農家の人だしその上取材もしてるからリアル感が出るのは当たり前だね。
キャラクターも、一見元気そうだけど悩みがあったり家庭の事情が複雑だったり
実際にそこら辺にいそうな人間ばかりなんだよね。
小さい頃に悪い奴に両親を殺された、とか影のありそうな特殊な奴は一人もいない。
だからこそ親近感も沸くし漫画の中に入り込みやすいのかも。
リアル感と言えば、動物の処遇に関してはとても直球に描いてると思う。
怪我をした動物や生産性の低い動物は即処分。これは現実でも当たり前にあることだと思う。
でもそれを敢えて暗く、深く描き込み過ぎないでいる。
当たり前のことだからそこまで特別に描く必要もないと思ったのかな。
主人公もまだその現実に納得していない。最終回で納得するのかはわからないけど
これに関しては最後まではっきりと答えを出さないと思う。
漫画の中で書いてるけど、農業は答えが一つなんてことはない。
だからどんなようにも取れる風に終わらせて、読者一人一人に考えてもらえるように描くと思うんだ。
それと最後だけど、食べ物が美味そう。動物可愛い。
これはこの漫画のような農業系漫画を描くにあたってとても重要なことだと思うのですよ。
やっぱり作物、動物は農業のメインであるし、そうしないとこういう漫画を描く意味がないからね。



ここまで描いて思ったんだけど、銀の匙が売れる理由は
とびだせどうぶつの森が売れる理由と同じようなものなんじゃないかな。
現代の社会に暮らしてる人は、とても疲れてるように思う。
だから、漫画やゲームの中ではまったりとかのんびりとか
そういったものを求めてるんじゃないかなと思うんですよ。
農業がまったりなんてそんなことはないんだけど
なんと言うかな。やっぱり人間には自然がなきゃ生きていけないのよってこと。
銀の匙の主人公はとても忙しい生活を送っていてまったりなんてレベルじゃないけど
でもすごく楽しそうだし生き生きとしてるよね。
そういったストレスフリーな生活、
心の平穏みたいなものが今の人間には必要なんじゃないかな。と思う。



とにかく面白いです、銀の匙
荒川氏も動物好きだし生き生きと描いてるんじゃないかな。
だって週刊なのに子供二人もいて
他の連載や鋼の仕事もまだあってそれでちょっと休載というレベルと聞いた。
荒川氏自身が強靭な肉体を持っているってのもあるんだろうけどね。
鋼だけで生きていけそうな収入もあるだろうし(わからないけどね)
他にやること多くて忙しいのにそれでも連載してるっていうのは
やっぱりそれほど好きだし描きたい作品なんだろうなあと思う。
平凡すぎない特殊すぎないキャラクターと世界観リアル感、暗くならない問題提起っていうのがこの漫画の魅力なんだと思います。